タグ「仄恋十題」の検索結果
-
《友情以上、恋愛未満》仄恋十題〜10:泣きたくなったら僕を呼んでね
たぶんきみは気付いてないだろうけど、〝紫のバラのひと〟のことを話すきみの瞳は恋をしている人間のものだ。名乗りもせずに援助し続けるファンだというその人に、きみは少女らしい幻想を抱いている。今はまだ友達の領域を超えられないけれど、叶うはずのない願いが破れたとき傍にいるのはきっと僕だ。
2011.07.05-22:17
[仄恋十題][桜小路][幻想][友達]
-
《masquerade》仄恋十題〜09:秘めて隠して、押し殺して
胸の奥深く秘められたこの想いは、誰にも知られてはならない。誰かひとりの人間に特別な感情を抱く事など、自分の立場では許されないことなのだ。誰も彼もが本心を隠している馬鹿げた踊りの輪の中で、冷徹な仮面の下に全ての感情を押し込んで沈黙を守り続ける。どんな時も笑顔を絶やさぬ道化のように。
2011.07.05-22:17
[仄恋十題][真澄][仮面][沈黙]
-
《二律背反》仄恋十題〜08:触れたくて、でも触れたくなくて
いつもは冷酷そうに閉じられている唇が、あたしの舞台が好きだと言った。皮肉さえ不器用なあなたなりの思いやりだったのに、今頃になって気付くなんて遅すぎると分かってる。ふと、その唇に触れたらどんな感触がするのかと夢想する。こんなに近く身体を寄せ合っていても、心は既に別の人のものなのに。
2011.07.05-22:13
[仄恋十題][マヤ][唇][皮肉]
-
《À la recherche du temps perdu》仄恋十題〜07:答えを失くした間柄
長く辛かった一夜が漸く明け、謎めいた言葉だけを残してきみは走り去った。おれはまた追憶の中に独り置き去りにされ、出口を見失う。喪失感を包み隠すように甘い残り香が立ち上り、俄に胸をせつなく掻き毟った。手元に残された梅の一枝に懐疑心が膨れ上がったとしても、答えを確かめる術などなかった。
2011.07.05-22:12
[仄恋十題][真澄][追憶][出口]
-
《invisible chain》仄恋十題〜06:たったそれだけのこと、なのに
「きみは次の舞台に立ちやすくなる…」大きな手で痛いほど強く手首を掴まれた。賭けに勝ったらあたしが望むだけバラの花を贈ろうだなんて、絶対何か企んでるに違いない。なのに畳み掛けるように「色は紫がいいか?」って訊くから訳が分からなくなるのだ。見えない鎖に繋がれたみたいに手首が熱かった。
2011.07.05-22:11
[仄恋十題][マヤ][賭け]
-
《her's eyes》仄恋十題〜05:少しだけ速まる鼓動
これから繰り広げられるであろう世界への期待に膨らむ胸を抑えながら、深紅のシートに深く身を沈める。開演ベルが鳴り、静かに幕が上がった。スポットライトを浴びて板の上を自在に駆け廻るきみの姿が眩しい。不意に視線が流れて来たとき、まるで初めて恋を知った少年のように心臓が鼓動を刻み始めた。
2011.07.05-21:53
[仄恋十題][真澄][鼓動]
-
《feather touch》仄恋十題〜04:掠めた指先
躊躇いがちに伸ばされた指先が、羽根のように軽く瞬きにも満たない間だけ頬を掠めて離れていった。たったそれだけのことなのに、どうしてこんなに胸が苦しくなるのだろう。憎らしいアイツが漏らしたのは「チビちゃんには分かるまい」という言葉だけ。あたしが子どもだから何も分からないとでもいうの?
2011.07.05-21:52
[仄恋十題][マヤ][羽根][頬]
-
《欲張りな溜め息》仄恋十題〜03:傍にいるだけで満足できたら
この先も彼女の才能を存分に生かしたプロジェクトが目白押しなのだ。これ以上、一体何を望むというのだろう。彼女は今、虹色の籠の中で美しく囀っているではないか。「チビちゃんには分かるまい」それでも溜め息と一緒についこんな言葉を漏らしてしまうのは何故だろう。おれにも分かるはずがなかった。
2011.07.05-21:51
[仄恋十題][真澄][虹色][籠]
-
《Jealousy》仄恋十題〜02:あんな表情、知らない
怒鳴り込みに行こうとしたら、まるで計ったようにあいつが現れた。文句を言おうと思ったのに、冷血漢でゲジゲジの仕事虫が女性にやさしく微笑み掛けている場面に遭遇するなんて考えもしなかった。一抹の淋しさが全身を覆い、呆然とその場に立ち尽くす。どうしてなのか、このときはまだ分からなかった。
2011.07.05-21:50
[仄恋十題][マヤ]
-
《first love》仄恋十題〜01:気が付けば君を探してる
まるで小さな台風が迷い込んできたように唐突に現れ、潮が引くみたいにサッと姿を消した。これまで味わったことのない、微かな痛みだけを胸の奥に残して。時間との闘いを強いられる日々、ふとした瞬間ドアの陰にあの少女の面影を探している自分に気付く。どうしてなのか、おれにもよく分からなかった。
2011.07.05-21:49
[仄恋十題][真澄][台風][面影]