煌めくクリスタルガラスのシャンデリア、響き合うグラスの音、華やかに着飾った人々のざわめき、管弦楽の豊かな調べ。ピカピカに磨き込まれた大理石の床は頭上のシャンデリアの輝きを映し、広いフロアをぐるりと囲むように並べられたテーブルの上には、豪華な食材をふんだんに使ったオードブルが並べられている。
フロアの要所に飾られた大輪の花々は見事としか言いようがなく、パーティの華やかさをより一層引き立てていた。その周りでは甘い蜜に群がるように人々がグラスを片手に談笑している。大都芸能の夏のパーティは、今年も芸能界を始め大勢の政界、財界人、文化人を集めて、ここ軽井沢で華やかに行われていた。都心のうだるような夏の暑さを避け、高級避暑地に集う人々が今夜は一堂に会している。
毎年、真澄が開く大都芸能のこのパーティは、そういった仕事上の人脈を築くのに役立っていた。都心から離れた避暑地での交流ではあるが、それはそのまま大都が手掛ける仕事に有益な繋がりとなる。新しい出会いは新しい仕事に、また旧交を温めながら新たなコネクションを構築する。
速水真澄は仕事上の付き合いならば、どこまでもスムーズにこなすことが出来る男だ。百戦錬磨の強者どもを上手くあしらい、会話をそつなくこなす。会場内を流れるように移動する彼の行動や言動に無駄や隙はない。それは長年に渡る彼の努力の賜だったのであるが。
しかし、中には仕事とは関係なく、真澄の心を射止めようとパーティを訪れる多くの女性たちがいるのも事実だった。大都芸能の冷血若社長の冷たい視線は、古狸らを黙らせる力を持つが、同時にこういった女性たちの熱いハートも打ち抜いていたのだ。
「あの冷たい視線がたまらないわね。でも、あの瞳が熱く燃えるところも見てみたいわ」
「真澄さま……素敵ね。あの方のお心を捕まえることが出来たら……」
「ああ、あの指で触れられたら、どんな感じかしら?」
そう言った会話は耳に入るともなく入ってくる。皆、真澄の素晴らしい地位や容姿に惹かれているのだ。ことに彼はまだ独身だったので、パーティの席を一種の見合いの場と勘違いしている人たちが紛れ込んでいることも多々あった。彼らは隙あらば、自分の娘だの姪だのを真澄に紹介しようと躍起になっていた。
無論、容姿端麗なことには利点もあって、彼は実際に多くの女性に好意を持たれた。このことは人付き合いには随分役立った、ということは否めない。だが、そのために他人の表面的な評価には懐疑的になってしまった。真澄はナルシストではないし、自分の容貌が女性を無差別に惹き付けてしまうことに、内心苛立ちを感じていたのだ。
第一、以前の彼は自分の目的を達成するために結婚相手を選ぼうとしていたほどだったのだ。心や絆などどうでもいい、仕事に有益な相手ならば尚更いい。そんな風に考えて生きてきた。
―選択は慎重にやりますよ。コンピュータに掛けてでもね。大都芸能に相応しい女性を
…to be continued